ディープなオペラ5作品

ディープで強烈な5作品を紹介

オペラがより専門的に詳しくなるディープで強烈な作品を紹介しましょう。
はっきり言うと、好き嫌いが分かれるに違いないけれどオペラのさまざまな方向性を理解する上でも一度は見るべきでしょう。
ランメルモールのルチア(ドニゼッティ)
ランメルモールのルチアベルカント・オペラと呼ばれる、声を聞く楽しみを極限まで追求したもの。主役のソプラノが、超高音で超技巧的な歌を長時間にわたって披露します。
こうした場面は「狂乱の場」と呼ばれ、主人公は頭がおかしくなって異常な歌を歌いだしたという設定です。見事に歌われた暁には、ストーリーはどうでもよくなってしまう。
ルチアに限らず、狂乱オペラと呼ばれる作品は、10分から15分の恍惚を味わうために行くものなのです。


トリスタンとイゾルデ (ワーグナー)
トリスタンとイゾルデ禁断の恋を突き詰めた作品で、全4時間の大作。特にえんえん1時間にわたって男女が恍惚を歌い、死に想いをはせる第2幕は、クラシック史上稀有な思想が、甘美な響きで説かれるのです。最初はとっつきにくいですが繰り返し聴いているうちに虜になるという麻薬のような危険性が、ワーグナーの特徴。
ワーグナーは長大な愛の場面を完成したあとで、思わず「オレは天才だ!」と叫んだと伝えられています。
彼は稀にみるわがまま人間で、友人恩人の妻を奪っても悔いなかったそうで、だからこそ書けたなんともわがままな不倫オペラの名作と言えましょう。


オテロ(ヴェルディ)
オテロ(ヴェルディ)生涯のほとんど最後に完成させた、まったく隙のない大傑作です。
耳にやさしいメロディは多くないけれど、嫉妬に狂う男の哀れさや、他人を不幸にしようとするドス黒い邪念をこれほどまでに容赦なく描いたオペラは他にありません。原作はシェイクスピアの「オセロー」です。
英雄オテロ役は「ティノール殺し」と言われるほど、歌手に大きな負担と緊張を強います。声が「高い」と「強い」は矛盾する方向性なのです。この役が立派に歌えるのは数年に過ぎないといわれています。


ヴォツェック
ヴォツェックドン底に悲惨で救いがない作品。人間社会の構造的・根源的な悲劇が示されているのです。
つまり、強いものが弱いものを虐げるのが社会なのだということ、人間は他人を傷つけながら生きているのだということ。作曲者がヴォツェックというオペラを作る計画を友人たちに話したところ、「そんな暗い話」はやめろ」と止められました。友人たちは、常識人だったからこそ、下手をすれば20世紀最高のオペラを流産させてしまうところでした。ともあれ、わずか100分ですが、終わったあとの余韻の重たさでは群を抜きます。


サロメ(リヒャルト・シュトラウス)
サロメ(リヒャルト・シュトラウス)題材は聖書に由来していますが、100年前には不道徳な内容という理由でなかなか上演が許可されなかった問題作です。
主人公はユダヤの王女。サロメはすべてが満たされている宮廷生活に退屈していました。
そこへ登場したのが、聖者と噂されている洗礼者ヨハネ。今まで知らなかった清貧タイプのヨハネに彼女の心は燃え上がります。けれどもヨハネが彼女を受け入れるはずもなく、生まれてはじめて強い拒絶にあったサロメは、すっかり度を失い、ヨハネの首をはねさせ、その首を抱いて恍惚とする。
サロメが王様のために踊る「7枚のヴェールの踊り」は、大オーケストラの伴奏が付いたストリップとも言えるもので、美人歌手が演じるときにはあまりにも魅惑的なエロティシズムを発散します。





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